給気ダクト点検扉 追設工事

給気ダクト点検扉は、建物の空調や換気システムにおいて、ダクト内部の点検や清掃を行うために設置される開閉式の扉です。これにより、ダクト内の状態を容易に確認でき、メンテナンスの効率が向上します。

給気ダクト点検扉の役割

点検扉は、ダクト内部の異常や汚れを早期に発見し、適切な対処を行うための重要な設備です。特に、排気ダクト内に油汚れが蓄積しやすく、火災のリスクが高まるため、定期的な点検と清掃が求められます。


給気ダクト点検扉とは?

給気ダクト点検扉は建物の空調・換気系統において、ダクト内部の清掃・検査を行うために設けられるアクセス装置です。
設計段階で点検箇所の設定を誤ると、将来の清掃や修繕時に大幅な手戻りリスクを生じるため、初期設計での位置決めとサイズ選定が極めて重要です。

Before

吸気扉点検窓設置前
給気ダクト点検扉 設置前

After

吸気扉点検口
給気ダクト点検扉 設置完了イメージ
吸気扉点検窓
給気ダクト点検窓イメージ

点検扉の種類と設置基準

点検扉には、ダクト内の圧力に応じて内開型と外開型の2種類があります。設置に際しては、以下の基準が設けられています。

  • 円形ダクト:概ね2mの範囲内で、約400mm×250mmの点検口を設置。
  • 角形ダクト
    • ダクト内に進入して清掃する場合:概ね7〜8mの範囲内に、約450mm×450mmの点検口を設置。
    • 外部から清掃する場合:概ね2mの範囲内に、約400mm×250mmの点検口を設置。

これらの基準は、火災予防条例に基づいており、点検口の設置は法的にも義務付けられています。

点検扉のサイズと用途

点検扉のサイズは、用途に応じて選定されます。

  • 300mm×300mm:頭を入れて内部を確認できるサイズ。
  • 450mm×450mm:身体をダクト内に入れることが可能なサイズ。
  • 600mm×600mm:ゆとりをもってダクト内に入れるサイズ。

これらのサイズは、点検や清掃の作業内容に応じて適切に選ばれます。

おわりに

給気ダクト点検扉は、建物の安全性と快適性を維持するために欠かせない設備です。適切な設置と定期的な点検・清掃を行うことで、火災リスクの低減や空調システムの効率向上が期待できます。建物の管理者や設計者は、点検扉の重要性を理解し、適切な対応を行うことが求められます。


点検扉が果たす3つの役割

  1. 消防・衛生確保
    火災予防条例や建築物衛生法の要件に基づき、ダクト内部の清掃を確実に行うための点検口は必須。
    排気ダクトにおいても、曲がり角や直線部に適切な点検口が設置されているかが、消防検査における判定ポイントになります。
  2. 作業性の確保
    点検・清掃時に作業員がダクト内にアクセス可能なサイズと構造であることが求められます。
    たとえば屋外からの清掃用には 400×250 mm 程度、身体を入れる場合には 450×450 mm 以上が基準とされます 。
  3. 長期保守性の計画
    定期点検や将来的なダクト修繕、機器リプレースの際に十分な可動スペースと配置マージンが確保されていないと、設計した設備自体がメンテナンスを阻む要因となります。

点検扉のサイズと配置基準例

ダクト形状・用途点検口サイズの目安点検人員のアクセス
円形ダクト(直線・曲がり)約 400×250 mm頭部を入れて作業可能
角形ダクト(外部清掃)約 400×250 mmダクト外からアクセス可
角形ダクト(内部清掃)約 450×450 mm 以上作業員が内部に進入可能
広めの内部アクセス600×600 mm 程度作業余裕を確保